Road to COLOMBIA vol.15 『Fリーガーが目指す道』

28湘南

第28節も波乱の1節となった。6試合中4試合が1点差の接戦、デウソン神戸がフウガドールすみだとの打ち合いを5-4で制し、カウンターで粘り強くチャンスを作ったヴォスクオーレ仙台を4-3でシュライカー大阪が下す。ペスカドーラ町田vsアグレミーナ浜松、エスポラーダ北海道vsバルドラール浦安は堅い展開から町田、浦安が勝利を収め、プレーオフ進出条件である5位圏内を争うバサジィ大分と府中アスレティックFCは3-1で大分が勝利した。

今節最も会場を沸かせたのは湘南ベルマーレ。首位、名古屋オーシャンズを相手に堂々たる戦いぶりを見せ、ホーム最終節で勝利を収めた。

名古屋との今季2回の対戦では、1-2、1-5と2敗していた湘南。この試合も先制は名古屋だった。開始1分22秒という早い時間帯での失点に会場がどよめいたが、湘南の選手たちは粘り強くチャンスを窺う。ゴールに迫る名古屋に臆することなくぶつかり、GK三浦拓も好セーブを連発。10分間、1点を追い続けた湘南は、安藤良平の鋭いシュートで同点とし、前半を折り返す。湘南の選手たちが目指すものは”善戦”でも”対等に戦うこと”でもなく”勝利”のみだった。迎えた後半も名古屋の猛攻をしのぎ、小野大輔のロングボールから刈込真人が泥くさくゴール。FPの粘りに呼応するかのように三浦拓も体を張ったセーブを続ける。決定機を迎えながらも決めきることができない名古屋がパワープレーを開始すると、集中した守備からパワープレー返しで2点を追加。4-1で湘南の快勝となった。

小田原アリーナで名古屋に勝利するのは初めてとあって、いつまでも鳴りやまぬ歓喜の声。試合後の記者会見で名古屋のビクトル・アコスタ監督は「攻撃のパフォーマンスは悪くなかったが、決めきれなかったのは仕方がないと思ってしまう。早い段階で得点を取ってしまったことで気持ちがでゆるんでしまったのかな、と思う。ゆるんだところで同点にされ、逆転されて、その部分が一番大きかった」と悔しさをにじませた。対する湘南の横澤直樹監督は「立ち上がり失点をして、相手のプレスが非常によかったので戸惑う部分もあったが、それを乗り越えて点を取り返してくれたのがポイントだった。試合前のロッカールームで『目の前の選手と戦うのではなく、ゴールに向かう。それを意識してほしい』と話し、選手たちはゴールを見れるようになった。実施している5段階ディフェンスのひとつがかなり効果があり、パワープレーでも機能した」と勝利を収めたポイントを語った。また、会場に足を運ぶファンやサポーター、スポンサーへの感謝の意を示しながら「私が目指すフットサルが少しずつ浸透してきたのはあるし、まだまだな部分もあるが、今日スタート地点に立った。ここから何ができるかが重要だ」と決して満足することなく今後も前進する決意をのぞかせた。

今シーズンも残り5節。優勝やプレーオフ進出が取り沙汰される時期ではあるが、下位のチームが戦うことをあきらめ、その順位に甘んじているわけではない。Fリーグを盛り上げるのはすべてのチームのすべての選手だ、という意識が、どの試合でも感じられる。

フットサルウズベキスタン代表とのトレーニングマッチを1勝1分で終えた日本代表。誰もがそのユニフォームを身につけ、日本を代表する選手としてピッチに立つことを目指している。リーグ戦で結果を出すこと。Fリーグの選手たちがまず目標とすることだ。それが観客を魅了し、日本フットサルのレベルを押し上げるとともに、自身の目標の実現に近づく一番の近道だと、誰よりも理解しているから。